遺伝で中性脂肪が高いことがあるって本当?

中性脂肪が増える原因といったら食べ過ぎや運動不足を思い浮かべますが、実は遺伝が原因になることもあります。

スポンサードリンク


遺伝が原因で中性脂肪が増加する?

遺伝が原因となって中性脂肪が増加することを「家族性脂質異常症」といい、家族性脂質異常症には次のようなタイプが存在します。

・家族性複合型高脂血症
家族性複合型高脂血症は中性脂肪値と総コレステロール値が高くなるものです。このタイプの高脂血症に分類される場合は、中性脂肪やコレステロールを血液中に運搬するための輸送カプセルの材料となる「アポたんぱく」や中性脂肪を分解してエネルギーを作り出すための分解酵素「リポたんぱくリパーゼ」の遺伝子異常が考えられます。

いくつかある遺伝性の高脂血症の中では最も多くみられる疾患であり、100人に1人は家族性複合型高脂血症だといわれているほどです。小児期には症状があらわれることはありませんが思春期以降に脂質異常症が出現するケースが多く、中性脂肪値と総コレステロール値の両方が上昇してしまうことで動脈硬化を引き起こし、若いうちに心筋梗塞などの動脈硬化性疾患があらわれる可能性があります。

・家族性Ⅲ型高脂血症
家族性Ⅲ型高脂血症は家族性複合型高脂血症と同じように中性脂肪値とコレステロール値が高くなりますが、発症の頻度は5000~30000人に1人と高くありません。

20歳を超えてから症状が発生することがほとんどであり、動脈硬化性疾患や冠動脈疾患があらわれることが可能性があります。また手のひらや甲、手首、肘や膝といった部位の皮膚に黄色腫という黄色いイボのような塊ができることもあります。

・家族性Ⅳ型高脂血症
家族性Ⅳ型高脂血症は中性脂肪値だけが高くなるものであり、総コレステロール値には影響が出ません。遺伝異常によって血液中で中性脂肪を運んでいるVLDLという輸送カプセルの合成が活発になりすぎてしまうことによって、中性脂肪の数値も高くなってしまいます。
診断基準が明確になっておらず発症頻度や動脈硬化性疾患との関連も不明ですが、多くの場合健康診断で発見できます。

・家族性リポたんぱくリパーゼ欠損症
家族性リポたんぱくリパーゼ欠損症になると総コレステロール値は多少上昇する程度ですが、中性脂肪値が極端に上昇します。発症頻度は100万人に1人といわれいており稀ではありますが、発症すると中性脂肪の数値が1000~15000mg/dl程度まで著しく上昇します。

中性脂肪の正常値は30~149mg/dlと設定されているため、この数字と比べるとどれだけ中性脂肪の数値が大幅に上昇しているかわかるでしょう。この脂質異常症を発症すると、名前からも分かる通り分解酵素であるリポたんぱくリパーゼが欠損するため、中性脂肪が増加してしまうのです。

極端な中性脂肪の増加により、急性膵炎を発症するケースもあります。

家族だから似てしまう生活習慣

中性脂肪値やコレステロール値が高すぎるいわゆる脂質異常症の人の中で、遺伝が関係している人は3~4割程度だといわれています。

これはあくまで中性脂肪が増えやすい遺伝子を祖父母や親から受け継いだ場合の話ですが、家族で似てしまうものは遺伝子だけではなく、生活習慣も似てしまいます。当然のことですが、家族ということは同じ屋根の下で生活を共にするわけですから食生活なども親と子で似てきます。

家族性脂質異常症になりやすい体質を親から遺伝している場合は、それが原因で中性脂肪が増えるでしょう。

しかし、親が普段から中性脂肪が増えてしまうような食事を摂っていればおのずと子どもも似たような食事を摂るわけですから、中性脂肪が増えやすい体質が子どもに遺伝されていない場合でも、親と同じように中性脂肪が増加してしまうのです。

検査と生活習慣の改善が大切!

中性脂肪が体内に増えすぎてしまうと、主に心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患を発症しやすくなります。

そのためもし自分の親の中性脂肪が高かったり、若いうちに心筋梗塞などを発症したことがある人がいる場合には、「まだ自分は若いから大丈夫!」とたかをくくらずに早めに検査をして、自分の中性脂肪値が高くないか、家族性脂質異常症を発症しやすい体質を遺伝していないか調べるように心がけましょう。

そして、普段から自分の生活習慣に気を付けることも大切です。もし体質が遺伝していないとしても、家族が中性脂肪を増やしやすい生活を送っていれば自分自身も似たような生活を送っており、中性脂肪が増えやすくなっているケースも考えられます。特に見直しておきたい生活習慣は次の3点です。

・食生活
中性脂肪が多く含まれる食事をとれば、当然のことながらその分体内の中性脂肪も増加します。
脂質が多い食品は控えめにして、脂質の代謝を促す食品を多く摂るようにしましょう。

・適度な運動
普段から体のエネルギーとして使われている糖などが不足すると、体内に蓄積されている中性脂肪が非常時のエネルギーとして消費されます。そのため普段から適度な運動をして、中性脂肪を減らす生活を心がけることが大切です。

・禁煙
タバコを吸うことで中性脂肪が増加するわけではありません。しかし、タバコを吸っていると動脈硬化性疾患の発症・脂肪の危険性がタバコを吸っていない人の2~4倍になるといわれています。中性脂肪が増加すると動脈硬化が発生しやすくなるため、動脈硬化性疾患を引き起こさないためにも禁煙は大切なのです。

「遺伝」と聞くとついつい「遺伝なら仕方ないか…。」と諦めてしまいがちですが、中性脂肪が増加した原因が遺伝であるにしろないにしろ、中性脂肪を下げるためには生活習慣の改善が必ず必要になります。

もし家族に中性脂肪が高い人が多かったり、若いうちに動脈硬化性疾患を発症した人がいる場合は、早いうちに自分も検査をして日頃から生活習慣に注意を払うようにしましょう。

スポンサードリンク


中性脂肪の基礎知識
血液検査でわかる中性脂肪値
病院での治療について
中性脂肪値が高い方へ
食事で対策
中性脂肪を下げるための習慣
中性脂肪値が低い方へ