中性脂肪が高いと何が悪い?どのような害が起こるのか

健康診断で中性脂肪の数値が高いと指摘された場合、何らかの方法で数値の高さを改善する必要があります。

しかし、中性脂肪の数値が高いと実際にどのような害が体に起こるのでしょうか?

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中性脂肪が高い=高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)

中性脂肪の作られ方は2種類あります。中性脂肪が含まれている食べ物を口にして体内に取り込む方法。そして、食べ物に含まれる糖質などを原料として肝臓で合成して作り出す方法です。

・脂質異常症の中の「高中性脂肪血症」
中性脂肪の数値が高くなるということは、体内の中性脂肪の量が多くなっているということです。そして、中性脂肪の量が多い状態を「脂質異常症」と呼んでいます。

脂質異常症は2007年以前は「高脂血症」と呼ばれていたため、こちらの方が耳になじんでいるという方も多いかもしれません。

脂質異常症にもいくつかの種類があり、次のように分類されています。

・中性脂肪の値が150mg/dl以上の場合→高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)
・LDLコレステロールの値が140mg/dl以上の場合→高LDLコレステロール血症
・LDLコレステロールの値が120~139mg/dl以上の場合→境界域高LDLコレステロール血症
・HDLコレステロールの値が40mg/dl未満の場合→低HDLコレステロール血症

簡単にいうと、脂質異常症とは血液中に溶け込んでいる脂肪(中性脂肪やコレステロール)の量が多かったり少なかったりする症状のことであり、その中でも中性脂肪が多い状態を「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と呼んでいるのです。

脂質異常症になる原因は様々です。遺伝的な要素や喫煙、アルコールの過剰摂取などがあげられますが、特に多いのが中性脂肪やコレステロールを増やす食品の食べ過ぎや運動不足です。

・高中性脂肪血症になるとどうなる?
中性脂肪の役割は、大きく分けると2つあります。
エネルギー源として活躍するか脂肪として活躍するかです。

私達が体を動かすためには、必ずエネルギーが必要になります。
普段はこのエネルギーには食事から摂取された糖質などが利用されるのですが、こういったエネルギー源が底をつきてしまうと体に脂肪として蓄えられていた中性脂肪が分解されて、エネルギー源として利用されるのです。

また蓄積されていた脂肪は断熱材のような働きをして、体の体温低下を防いだり、内臓を外部の衝撃から守る働きもあります。

このように中性脂肪は、普段は脂肪として蓄積されていざというときにエネルギー源として利用されるのですが、正常な量を超えて体内に蓄積されていってしまうと肥満の原因になったり、動脈硬化を引き起こしてしまう可能性があるのです。

脂質異常症を引き起こす病気がある!

脂質異常症になる原因について軽く触れましたが、実は遺伝的要素や生活習慣以外にも、病気によって脂質異常症が引き起こされることがあります。

・糖尿病
糖尿病は脂質異常症と密接に関係している病気であり、糖尿病患者の20~50%は脂質異常症を患っているといわれています。

糖尿病は、簡単にいうとインスリンというホルモンが不足したり正常に機能しなくなることで、エネルギーとして使われるべきブドウ糖がしっかりと利用されずに余ってしまう病気です。

実はインスリン不足によってエネルギーとして利用されなかったブドウ糖は、肝臓へと運ばれていき中性脂肪へと合成されるのです。

またインスリンにはブドウ糖を処理するだけでなく、脂質の代謝を良くする働きがあります。中性脂肪は、血液の中では「VLDL」という輸送カプセルに取り込まれています。

そして、中性脂肪はリポタンパクリパーゼという分解酵素の作用を受けてVLDLという輸送カプセルから分解されて、体のエネルギーとして利用されます。インスリンにはこの輸送カプセルが過度に作られるのを押さえたり、分解酵素であるリポタンパクリパーゼの働きを活性化させる力があります。

つまり糖尿病になってインスリンが不足してしまうと、ブドウ糖だけでなく中性脂肪もエネルギーとして利用されづらくなるということなのです。体の中で利用されなかった中性脂肪は尿などと一緒に体の外に排出されるわけではなく、脂肪としてどんどん体内に蓄積されていきます。

こういった理由から、糖尿病になると中性脂肪が増えて高中性脂肪血症を合併するケースがあるのです。また、中性脂肪だけでなくLDLコレステロール値も上昇することがあります。

・その他の病気
糖尿病は脂質異常症を引き起こす可能性の高い病気ですが、他にも脂質異常症を引き起こす病気があります。

甲状腺ホルモンの合成・分泌が減り、活力が衰えてしまう「甲状腺機能低下症」。尿にタンパク質が出てしまう腎臓の病気である「ネフローゼ症候群」。

副腎皮質ステロイドホルモンが増加して、高血圧や月経異常を引きおこす「クッシング症候群」。腎臓病が慢性化してしまい、腎臓の機能が低下する「慢性腎不全」。肝臓から十二指腸の胆道が詰まってしまう「閉塞性黄疸」。

肝臓の中にある胆管の流れが悪くなりコレステロールが増加する「原発性胆汁性肝硬変」。

これらの病気は、体内の中性脂肪やコレステロールを増加、もしくは低下させて脂質異常症を引き起こす可能性のある病気なので注意が必要です。

中性脂肪が増加すると病気が発生する!?

ここまで中性脂肪やコレステロールが増えることで脂質異常症になるということ、そして脂質異常症を引き起こす病気があることを説明してきました。

しかし、皆さんが一番気になるのは、中性脂肪の数値が高いと体にどんな害が発生するのか?ということだと思います。最後にこの部分について説明していきましょう。

▼動脈硬化性疾患
まず中性脂肪の数値が高くなったり脂質異常症になると動脈硬化が引き起こされます。
動脈硬化とは、動脈の血管が硬化したり血管の内部に脂肪などが付着し、血管の通り道が狭くなる症状です。動脈硬化を放っておくと様々な病気を引き起こしてしまうのです。動脈硬化が引き金となって発生する病気を「動脈硬化性疾患」といいます。

動脈硬化性疾患の中には次のような病気があります。

・狭心症、心筋梗塞
狭心症と心筋梗塞は動脈硬化が引き起こす病気の中でも代表的なものです。狭心症になると心臓への血流が一時的に停止してしまい、心臓の筋肉が酸素不足へと陥ってしまいます。突然胸が締め付けられたり息苦しさを感じて、この状態が数分から10分程度続きます。

一方で心筋梗塞は、心臓への血流が完全に停止してしまう病気です。発作が始まると胸全体に激痛が走り、この状態が30分~数時間程度続きます。そして発作が始まってから数時間経過すると半数近い人は死亡するといわれている非常に怖い病気なのです。

・脳梗塞
脳の動脈に血栓が詰まることで、血流が止まってしまうのが脳梗塞です。脳梗塞になると脳の細胞が酸素不足に陥ってしまうため、言語障害、感覚障害、半身麻痺、視野障害など様々な障害が発生してしまいます。

脳梗塞や心筋梗塞は日本人の死因の多くを占めているおり、このことからも動脈硬化がいかに怖いものなのかが分かります。

・閉塞性動脈硬化症
太ももや太ももに繋がる下腹部の血管の動脈硬化がきっかけで引き起こされる病気です。この部分が動脈硬化を起こすと足に送られる血液の量が不足して、同時に酸素も不足します。

これが原因となって足に冷えやしびれを感じるようになり、最悪の場合は細胞が壊死してしまい足の切断をしなければいけなくなるケースもあります。

・大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)
心臓から送り出された血液を全身に届けるための血管が大動脈であり、この血管が動脈硬化によりこぶのように膨らんだのが大動脈瘤です。大動脈瘤は腹部にできることが多く、腹部に鈍い痛みや腰痛を感じるようになります。

症状が軽いうちはささいな痛みだけですみますが、こぶが大きくなりすぎると破裂することもあります。このときには激痛を感じて呼吸困難やショック症状を起こすことが多く、ほとんどの場合死に至るといわれています。

▼その他の病気
中性脂肪が増加すると動脈硬化を引き起こして、それが引き金となって様々な病気を引き起こします。しかし、中性脂肪の増加は動脈硬化性疾患以外の病気も引き起こすことがあります。

・急性膵炎
脂肪が多く含まれている食品やアルコールを大量に摂取することで血液に含まれる中性脂肪が多くなると、膵臓に炎症が発生します。膵臓は食べ物を消化するために必要な酵素を分泌していますが、急性膵炎になると酵素によって膵臓自体が消化されてしまい炎症を起こしてしまうのです。
急性膵炎になるとみぞおち部分を中心にして軽い痛みを感じたり、うずくまってしまうほどの激痛を感じることがあります。

・脂肪肝
中性脂肪は肝臓で合成されており、食べ物から摂取した中性脂肪も一旦肝臓へと集められます。
つまり中性脂肪の量が増えれば増えるほど、肝臓に集まる中性脂肪の量も増えていきます。すると肝臓の細胞に中性脂肪がどんどん蓄積されていき、脂肪肝になってしまうのです。

脂肪肝になると細胞に蓄積された脂肪に圧迫されて、肝臓の機能が低下してしまいます。肝臓は「沈黙の臓器」といわれており、肝臓の異常を初期の段階で自覚することは難しいです。

そのため脂肪肝になり肝臓の機能が大幅に低下した頃に異常を感じて、様々な肝臓病に発展していることに気付くケースが多いです。

中性脂肪が高いと脂質異常症と診断されます。脂質異常症になる原因は食生活や生活習慣、病気など様々であり、脂質異常症になってしまうと動脈硬化や様々な病気を引き起こす可能性が高くなるのです。

中性脂肪の値の変化を体調などから自覚するのは難しいので、毎年の健康診断を利用して自分の中性脂肪の数値をしっかりと確かめるようにしましょう。

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