脂肪はどのように消化吸収されるのか

健康志向が高まっている近年、悪者にされがちな脂肪。
そんな脂肪はいったいどのように消化吸収されているのでしょうか?

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脂肪は4種類!

まず脂肪といってもみなさんそれぞれイメージがあると思いますので、脂肪の種類から簡単に説明しましょう。体の中に存在する脂肪は大きく分けると4つに分類できます。

・中性脂肪
・コレステロール
・リン脂質
・脂肪酸

この4つの脂肪の中で最も体内での割合が多いのは中性脂肪であり、全体の9割近くを占めています。そのため脂肪といったら、大抵が中性脂肪のことをさします。

また食品に含まれている脂肪の多くがこの中性脂肪であり、体の中で分解されることによって体を動かすエネルギーとして働きます。

中性脂肪よりもコレステロールという言葉の方が馴染み深いと感じる方も多いかもしれません。
コレステロールは体内の肝臓で7~8割程度が合成されるため、食事から摂取する分は全体の2~3割程度にとどまっています。中性脂肪は体のエネルギーとして働きますが、コレステロールは細胞膜やホルモンの材料となります。

リン脂質はコレステロールと同じように細胞膜の材料になったり、コレステロールや中性脂肪といった脂を血液に溶け込みやすくする働きなどがあります。

脂肪酸は中性脂肪が分解された姿であり、中性脂肪はこの脂肪酸へと姿を変えない限り体の中でエネルギーとして使うことはできません。

このように脂肪にもいくつかの種類がありますが、食事から摂取される主な脂は中性脂肪とコレステロールとなっています。そのため健康診断などでも中性脂肪の値やコレステロールの値が診断項目としてあげられているのです。

ここから先は中性脂肪とコレステロールの消化吸収の仕組みについてみていきましょう。

中性脂肪の消化吸収

まずは中性脂肪の消化吸収の仕組みからです。

・リパーゼによる中性脂肪の分解→小腸へと吸収
口に含まれた中性脂肪を含む食品は、口の中でしっかりと咀嚼されて胃へと流れ込みます。そこからさらに十二指腸へと流され、ここで分泌される胆汁によって乳化されます。

乳化されることによって本来混ざり合うことのない物質同士が混ざり合うようになり、大きすぎた脂の固まりをミセルという小さな形状に分解できるのです。

次は膵臓から分泌された脂肪分解酵素であるリパーゼによって、脂肪の分解が行なわれます。これによって中性脂肪はグリセリンと脂肪酸に分解され、小腸に吸収されます。その後小腸の粘膜で脂肪酸とグリセリンは再び合成されて、姿を中性脂肪へと戻します。

・小腸から「カイロミクロン」による運搬→エネルギーとして利用→肝臓へ
中性脂肪に含まれている脂肪酸は体を動かすエネルギーとなる物質であり、体の隅々まで行き渡らせる必要が出てきます。そこで活躍するのが血液中で脂肪を運ぶ「リポタンパク」です。

体内の隅々まで栄養を運ぶためには血液に溶け込むのが効率的ですが、中性脂肪はその名のとおり脂なので、水=血液に溶け込むことができません。

この問題を解決するために、中性脂肪はアポタンパクという水になじみやすいタンパク質などに覆われたリポタンパクへと取り込まれます。この状態になることで、中性脂肪は初めて血液に乗って全身へと行き渡ることができるのです。

リポタンパクは大きさや構成される物質の内訳によっていくつかの種類に分けられますが、小腸では「カイロミクロン」というリポタンパクに中性脂肪は取り込まれます。

カイロミクロンはリンパ管を流れ、胸管を通過して血流に入っていきます。血流に入るとカイロミクロンはリポタンパクリパーゼ(LPL)という分解酵素の作用を受け、中に含まれている中性脂肪が脂肪酸とグリセリンに分解されて、カイロミクロンから切り離されていきます。ここで切り離された脂肪酸が体のエネルギー源として使用されるのです。

一方で中性脂肪が切り離されていったカイロミクロンは、少しずつ小型化していき「カイロミクロン・レムナント(レムナントは残り物という意味)」へと姿を変えます。

このカイロミクロン・レムナントは、カイロミクロンと比べると含まれる中性脂肪の量は少なくなっていますが、体内で使われきれなかった中性脂肪がまだ含まれており、最終的に肝臓へと行きつきます。

・肝臓から「VLDL」による運搬→エネルギーとして利用→肝臓へ
肝臓へと行きついた中性脂肪は、エネルギーとして使われなかった余分なものです。この余ってしまった中性脂肪は一旦肝臓や脂肪細胞に蓄えらます。これがいわゆる脂肪の状態です。
しかし体の中のエネルギーが不足した場合には、小腸に存在したときと同じようにリポタンパクへに取り込まれて、直接血液に流れ出ていきます。

小腸ではカイロミクロンというリポタンパクに取り込まれていましたが、肝臓では「VLDL(超低比重リボタンパク)」というリポタンパクへと姿を変えます。血液に流れ出たVLDLはカイロミクロンと同じように分解酵素であるリポタンパクリパーゼの作用を受けて、中にある中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解して体の様々な部位にエネルギー源を配っていきます。そして体の中で使われなかった中性脂肪は再び脂肪として蓄積されていくのです。

これが中性脂肪の消化吸収の流れです。

コレステロールの消化吸収

次にコレステロールの消化吸収についてです。コレステロールの消化吸収も、途中までは中性脂肪と同じ流れをたどっていきます。

・小腸から「カイロミクロン」による運搬→肝臓へ
口から取り込まれたコレステロールは、中性脂肪と同じように小腸で吸収されてリポタンパクであるカイロミクロンに取り込まれます。カイロミクロンの内の84%が中性脂肪ですが、7%はコレステロールです。

このカイロミクロンは、上でも書いたようにカイロミクロン・レムナントへと姿を変えて肝臓へと運ばれます。

・肝臓から「VLDL」による運搬→「LDL」へと変化
肝臓へとたどり着いた食事から摂り込まれたコレステロールは、肝臓で合成されたコレステロールと一緒になり、今度は中性脂肪とともにリポタンパクであるVLDLへ取り込まれ、血液中に流れ出ていきます。

その過程でVLDLはリポタンパクリパーゼによって中に含まれる中性脂肪を分解されることで、「IDL(中間型リポタンパク)」→「LDL(低比重リポタンパク)」へと姿を変えていきます。

VLDLの段階では中に含まれるコレステロールの割合は54%、コレステロールの割合が19%でしたが、LDLになると中性脂肪の割合が11%、コレステロールの割合が46%となります。

つまりVLDLは主に中性脂肪を運ぶための乗り物だったのに対して、LDLはコレステロールを全身に運ぶための乗り物だというわけです。

・「LDL」に運搬→体の材料へ→「HDL」によって回収
LDLによってコレステロールは全身に運ばれていき、様々な組織の細胞膜などの材料となります。
しかしコレステロールのすべてが細胞膜などの材料として使われるわけではなく、余りが出てしまうことがあります。この余ってしまったコレステロールは、「HDL(高比重リポタンパク)」に回収されて再び肝臓へと戻されていきます。

LDLがコレステロールの運搬役だったのに対して、HDLはコレステロールの回収役なのです。

このように食事から摂取されたコレステロールと肝臓で合成されたコレステロールは、消化吸収されていきます。

体の中の脂肪の多くを占める中性脂肪とコレステロール。この2つの脂質はリポタンパクによって体の全身へと運ばれていき、エネルギーや細胞膜の材料として使われ、余ったものは再び肝臓へ回収されていきます。

脂というのは正常な量であれば緊急時に体を動かすためのエネルギーになってくれたり細胞を作る手助けをしてくれますが、量が増えてしまうと消化吸収を経て脂肪として蓄積されたり、動脈硬化の原因にもなってしまうのです。

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