中性脂肪とコレステロールの違いと関係を知ろう!

中性脂肪とコレステロールは同じ脂質に分類されますが、体の中での役割には違いがあります。

しかし、一般的には「中性脂肪もコレステロールも脂だから体に悪いもの!」という程度の認識しかされていないかもしれません。ここではそんな中性脂肪とコレステロールの違いや関係性を紹介していきます。

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中性脂肪とコレステロールの違いは?

人の体の中に流れている血液には、次の4つの脂質が含まれています。

・コレステロール
・中性脂肪
・リン脂質
・遊離脂肪酸

このようにコレステロールと中性脂肪は、同じ脂質に分類されているため、「どちらも同じ脂でしょ?」と思う方が多いのも無理はないかもしれません。しかし、実際には中性脂肪とコレステロールには体内での働きに違いがあるのです。

▼中性脂肪の働き
中性脂肪の働きは主に3つあります。

・エネルギー源の貯蔵庫
まずはエネルギー源の貯蔵庫としての働きです。中性脂肪は体の中に取り込まれると分解酵素の作用を受けて、脂肪酸とグリセリンに分解されます。この分解されてできる脂肪酸は、体を動かすエネルギーとなる物質です。

人は体を動かす場合には真っ先に糖質などの栄養素をエネルギーに変換するのですが、糖質などが不足した場合は中性脂肪を分解してエネルギーとして利用します。

そして、仮にエネルギーとして利用されなかった中性脂肪は体の脂肪として蓄積され、再び体のエネルギー源が不足したときに分解されエネルギーとして利用されるのです。

・体温低下を防ぐ
次に体温の低下を防ぐ働きです。エネルギーとして利用されなかった中性脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されますが、この脂肪は保温材のような働きをしており体温が極端に低下するのを防いでくれます。

・外部の刺激から内臓などを守る
最後に内臓などを外部の刺激から守る働きです。これも上の働きと同じように脂肪によるものなのですが、脂肪は保温材としてだけでなく、クッション材としても働いてくれます。

この脂肪というクッションがあるおかげで、私たちの体内にある臓器は外部の刺激から守られているのです。

▼コレステロール
コレステロールには、主に3つの働きがあります。

・細胞膜の材料
まずは細胞膜の材料としての働きです。私達の体を構成する脳、心臓、肝臓、骨、皮膚、ありとあらゆる臓器や部位は、すべて細胞の集合体です。そして、この細胞は1つ1つが膜で覆わており、この細胞膜の材料となっているのがコレステロールなのです。

・ホルモンの材料
次にホルモンの材料としての働きです。人の体には、タンパク質や糖質の代謝、炎症のコントルールなどをする副腎皮質ホルモン、男性らしさや女性らしさを作り出す性ホルモンがあります。コレステロールはこういったホルモンの材料にもなっているのです。

・胆汁酸の材料
最後に胆汁酸の材料としての働きです。体内の消化液に「胆汁」という脂肪の消化や吸収を助けるものがあります。この胆汁の主成分が胆汁酸であり、この胆汁剤の材料としてもコレステロールは使われるのです。

このように中性脂肪には主にエネルギー源としての役割、コレステロールには細胞膜などの材料としての役割があり、同じ脂質でも働きには違いがあります。

善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違い

中性脂肪とコレステロール、それぞれが持つ働いは違いますが、この二つの脂質は密接な関わりを持っています。この関わりを知るためには、コレステロールの種類を知っておかなければいけません。

▼2種類のコレステロール
「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」という2種類のコレステロールの名前を耳にしたことがあるという人は多いでしょう。

実は善玉コレステロールも悪玉コレステロールも含まれているコレステロールは同じものです。この2つのコレステロールの違いは、コレステロールを輸送する「リポタンパク」という物質にあるのです。

コレステロールは脂質、つまり脂であり、細胞膜などの材料として全身へ運ばれる必要があります。
そのためには血液に溶け込むのが最も効率が良いのですが、残念ながら脂は水=血液に溶け込むことが難しいのです。

そこで、コレステロールは水に溶けやすいアポタンパクに覆われたリポタンパクという輸送カプセルに乗って、血液に流れこんでいくのです。

・LDL(悪玉コレステロール)
さきほどもいったように悪玉コレステロールも善玉コレステロールも含まれているコレステロールは、どちらも同じものです。違うのは輸送カプセルです。

LDLの輸送カプセルは、配達専門となっておりこのLDLにのってコレステロールは全身の細胞へとくまなく届けられます。

しかし、コレステロールが足りている状態だと細胞はコレステロールを受け取ろうとしないため、LDLはコレステロールを乗せたまま血液中を流れて肝臓へとたどり着きます。
肝臓ではLDLで運ばれてきたコレステロールを材料にして胆汁酸を作ったり、肝臓そのものの細胞の材料として使いますが、それでもコレステロールが余ってしまうとLDLは再び血液と流れ出ていきます。

これが繰り返されることによって、血液中にはLDLが溢れかえっていきます。厄介なことに血液中に増えたLDLは、血管にしみこんでしまい動脈硬化を引き起こすきっかけとなってしまいます。

動脈硬化になると血管が詰まってしまい、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気に繋がります。そのため、LDLは「悪玉」コレステロールと呼ばれているのです。

・HDL(善玉コレステロール)
LDLが輸送専門のカプセルだったのに対して、HDLは回収専門の輸送カプセルです。HDLは小腸や肝臓で作られ、血液に流れでていく途中で少しずつ輸送カプセルとしての働きを持つようになります。

先ほどLDLが余ると血管にしみこみ動脈硬化の引き金となるといいましたが、HDLには血管にしみこんだコレステロールを引き抜いて肝臓へと運ぶ働きがあります。
肝臓へと運ばれたコレステロールは再利用、分解、排泄されるため、再び血液に流れ出て血管にしみこむ心配もほぼありません。

そのため、LDLが増えてしまってもHDLがしっかりと機能すれば、動脈硬化を未然に防げます。この働きからHDLは「善玉」コレステロールと呼ばれているのです。

中性脂肪が増えると「悪玉」が凶悪化、「善玉」が減少する!?

2つのコレステロールについて説明しましたが、実はコレステロールと中性脂肪には密接な関係があり、中性脂肪が増えると悪玉コレステロール(LDL)が凶悪化し、善玉コレステロール(HDL)が減少するのです。

▼中性脂肪が増加→HDLとアディポネクチンの減少
内臓脂肪細胞では超善玉物質と呼ばれている「アディポネクチン」が作られています。
これには中性脂肪を減少させる効果があります。しかし、血液中を流れる中性脂肪の量が増えるとHDLと一緒にアディポネクチンも減少します。

つまり、中性脂肪が増える→HDLとアディポネクチンが減る→アディポネクチンが減少して中性脂肪さらに増える→HDLとアディポネクチンが減る→中性子脂肪がさらに増えて…という悪循環が完成してしまうのです。

▼中性脂肪が増加→悪玉が凶悪化!超悪玉コレステロール誕生!?
血液中の中性脂肪が増えると、HDLが減少します。HDLが減少するということは、血管に染み込んだコレステロールの回収量が少なくなるということなので、動脈硬化の危険も高くなります。

しかし、それ以上に厄介なのが中性脂肪の増加による「超悪玉コレステロール」の誕生です。中性脂肪が増えてアディポネクチンが減少すると、悪玉コレステロール(LDL)が超悪玉コレステロール(小型LDL、スモールデンスLDL)へと変化することがあるのです。小型LDLは、通常の悪玉よりもサイズが小さく次のような特徴を持っています。

・粒が小さく血管に染み込みやすくたまりやすい
・β‐カロテンやビタミンE(抗酸化作用を持つ)の含有量が少なく、酸化されやすい
・血液中にとどまっている時間が長い

この特徴が相まって、LDLよりも小型LDLのほうが動脈硬を進めやすく「超悪玉」コレステロールと呼ばれるのです。

このように中性脂肪が増加すると、同じ脂質に分類されるコレステロールの量にも変化があらわれるのです。そのため体内に存在するコレステロール単体の量もそうですが、一緒に中性脂肪の量も気にする必要があります。

基準値と計算式

ここまでの説明で中性脂肪とコレステロールには密接な関係があり、体内に存在する量に気をつけないと動脈硬化などを引き起こすことが分かったと思います。そこで参考にしたいのが、健康診断や血液検査の数値です。

▼脂質異常症の診断基準値
中性脂肪やコレステロールの数値に異常があり、動脈硬化などの危険がある場合を「脂質異常症」と呼びます。
脂質異常症はそれぞれの脂質の数値によって、さらに細かく分類されています。

・LDLコレステロールが140mg/dl以上…高LDLコレステロール血症
・LDLコレステロールが120~130mg/dl以上…境界域高LDLコレステロール血症
・HDLコレステロールが40mg/dl未満…低HDLコレステロール血症
・中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dl以上…高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)

このように分類されているため、健康診断を受けた場合はこれらの数値に問題がないかしっかりと確認するようにしましょう。

▼LDLコレステロールの計算方法
上でもLDLコレステロールの数値がどのくらいになると脂質異常症に分類されるか紹介しましたが、実は健康診断ではLDLコレステロール値を測定しないことが多いのです。

こういった場合は、次の計算式を使うことでLDLコレステロール値を求められます。

・中性脂肪値(TG)が400mg/dlの未満の場合
健康診断で中性脂肪(TG)の値が400mg/dlの場合は、次の計算式を使ってください。

LDLコレステロール値(LDL‐C)=総コレステロール値(TC)-HDLコレステロール値(HDL‐C)-(中性脂肪値(TG)÷5)

・中性脂肪値(TG)が400mg/dl以上の場合
中性脂肪(TG)の値が大きくなると、上で紹介した計算式では正確なLDLコレステロール値を出すのが難しくなってきます。そのため、中性脂肪値が400mg/dl以上の場合は、まず「non‐HDLコレステロール値」という基準値を求めます。

non‐HDLコレステロール値は、LDLコレステロール値よりも約30mg/dl高い数値になっています。そのため、計算式で求めたnon‐HDLコレステロール値から30を引くと、およそのLDLコレステロール値が求められるのです。

つまり、non‐HDLコレステロール値が170mg/dlだった場合、LDLコレステロール値はそれよりも30mg/dl低い140mg/dlということになり、脂質異常症の中の「高LDLコレステロール血症」に分類されるということです。

計算式は以下のとおりです。
①non‐HDLコレステロール値=総コレステロール値(CT)-HDLコレステロール(HDL‐C)
②LDLコレステロール値(LDL‐C)=non‐コレステロール値-30md/dl

中性脂肪とコレステロールが同じものと思っていたという人も、ふたつの脂質の違いを理解していただけたのではないでしょうか。ふたつの脂質は違う働きをしながらも、体の中では密接な関係を持っています。

健康診断では、どちらか片方の数値だけではなく中性脂肪とコレステロールの値をセットにして確認する癖をつけるといいでしょう。

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